現在では北海道は人が暮らす場所というのが当たり前の認識になっていますが、もともとは北海道にはヒグマがどこにでも生息していました。
北海道土産として「熊出没注意!」のマークの付いたタオルやステッカー、Tシャツをもらったことがある方もいるのではないでしょうか。
私も、北海道に来てからというもの、いつ野生のクマに出くわすんじゃないかと散歩のときはひやひやしています( ;∀;)
もちろん、野生のヒグマに出くわしたらかなりビビりますし、驚異的な存在であることに変わりはないのですが、一方で古くから北海道にとってヒグマは特別な存在でした。
そんな、怖くも魅惑的な北海道のクマについて、今回はヒグマについての基礎知識や、ヒグマを安全に見られる北海道の観光スポットについてご紹介していきます。
万が一、管理されていない普通の場所でヒグマに出くわしてしまった時の対処法も紹介するよ!!クマに出くわしたら、死んだふり・・・・は通用するのかな(´Д`)??
北海道にとってのクマとは?
古くから、北海道に住む人々にとって、ヒグマはただの動物ではありませんでした。
どんな存在だったのかというと・・・
北海道の人々にとってヒグマは神様?
北海道では、先住民族であるアイヌがヒグマを「キムンカムイ」(山の神)や「カムイ」(神)と呼んで、神として敬っていたんです。
アイヌ民族の信仰では、クマは神の国では人間と同じ姿で生活していて、人間の世界に来る時には毛皮のコートを着て、大量のお肉を人間へのお土産として持ってくると言われています。
なので、人間がクマを狩って食べたとしても、それはクマから毛皮やお肉の「お土産をもらった」という意味合いになり、霊魂に対してはちゃんと儀式を行って、神様の世界に送り返します。
アイヌ民族の中では、一方的に命を奪っているのではなくて、自然や神(カムイ)との贈与・返礼と交換で社会が成り立っているという考えなんですね。
仔グマを可愛がってから食べる儀式
アイヌでは、仔グマを捕獲したときは、1〜2年ほど大切に大切に飼育してから、その後に肉や毛皮をいただき、魂をカムイの国へ送り返すという儀式が行われていました。
アイヌの人々は仔グマを大切に育て、たくさんの土産を持たせてカムイの世界へ送り帰すことで、神であるクマが再び人間の世界へ訪れることを期待していました。
この儀式は、仔グマの肉を食べるために行っているのではなくて、仔グマを楽しませることで、神の国に戻ったときに人間の世界がいかに面白い世界であったかを報告してもらって、クマたちが再び人間の世界にお客としてやってきてもらうために行っていたそうです。
北海道でヒグマを安全に見られるスポット
ここまでで、北海道にとって昔からヒグマがどのような存在だったのかご説明してきましたが、怖い存在ながら、ちょっと興味が湧いてきませんか??^^
確かにいきなり道を歩いていて出くわしたら怖いけど、せっかく北海道に旅行に行くなら、安全な場所でカムイであるヒグマを見てみたい!安全が確保されるならできるだけ近くで!!
という方のために北海道で安全にヒグマを見ることができるクマスポットをご紹介していきますね。
のぼりべつクマ牧場
北海道、いや、日本で一番有名なクマ牧場がのぼりべつクマ牧場でしょう。
まさにエゾヒグマのテーマパークで、可愛らしい子グマから迫力満点の大人のオスグマまでいろいろなクマを見ることができます。
北海道民にとって「登別といえばクマ牧場か温泉!」というくらい、のぼりべつのクマ牧場は有名です。もちろん、温泉も超有名なのでお子様連れの親子3世代旅行でよくチョイスされます。
のぼりべつクマ牧場では、クマにエサやり体験ができたり、可愛い子クマが自分でエサをハンティングするところも見られたり、人間がオリに入ってガラス越しにクマを見ることができる「ヒトのオリ」も体験できたりするので、子供はもちろん、大人も楽しめますよ。
のぼりべつクマ牧場の園内は、オスグマが暮らす「第1牧場」とメスクマが暮らす「第2牧場」、子グマが暮らす「子グマ牧場」などがあり、各エリアそれぞれの楽しみがあります。
大人のオスは最大で体長2m以上、体重250kgにもなるので迫力満点!!ちょうど僕の2倍くらいですね( `―´)ノ
のぼりべつクマ牧場では、約80頭のクマたちに出会えるほか、標高560mの山の山頂に位置しているので、山頂から倶多楽湖の絶景を堪能することも可能です。
帰りは登別の温泉にみんなで入って、旅の疲れを癒しながらクマたちの話で盛り上がるのも楽しそうですね!
関連記事:何度でも行きたい登別!道民がお勧めする登別の観光&癒しスポット12選
サホロリゾートベアマウンテン
サホロリゾートベアマウンテンでは、通常の動物園と違い、より自然に近い環境で暮らすクマたちを見られるようにかなり広い敷地内で管理、飼育されています。
クマたちは広い敷地の中を自由に移動したり、食べ物を食べたり、水浴びをしたりしているので、ほぼ野生のクマと同じような自然な行動やしぐさを観察出来ちゃいます。
人間は専用の「ベアウォッチングバス」に乗って移動していくので安全な場所で見られますよ!バスを利用しない場合も安全な高い場所に設置されている遊歩道から見ることができます。
自然に近い環境で管理されているので「必ずここで見られます」というわけではありませんが、その分、クマを探して見つけられたときは感動します。
ガイドさんがクマが気に入っているスポットに案内してくれるので、一頭も見られないということはほぼないのでご安心ください^^
園内中央に設置されている「ベアポイント」では、かなりの高確率でヒグマがくつろいでいて、ガラス越しながら超至近距離でヒクマと対面することができます。今にも息づかいが聞こえそうなくらいの近距離でかなりの迫力を感じられますよ。
自然に近い行動やしぐさをしているヒグマを見てみたい方はぜひ訪れてみてくださいね。
昭和新山熊牧場
昭和新山熊牧場は、温泉街で有名な洞爺湖エリアからすぐの場所にあり、国の特別天然記念物に指定されている昭和新山の麓にあります。
年齢別でグループ分けされたクマたちが、のんびり寝転がったり、じゃれ合って相撲をとったり、ときどき喧嘩したりと、クマたちが思い思いに過ごす様子を間近に見ることができます。
昭和新山熊牧場ではエサやり体験もでき、クッキーやリンゴをクマたちにあげることができます。(リンゴは季節限定でクマたちも大好き!)
エサをもってオリの近くに行くと、手にあるエサを見つけたクマたちが「こっち~~!」と呼ぶように、立ち上がったり、手招きしたり、いろいろなアクションでねだってくるのでとっても可愛いです。
もっとクマの迫力を身近に感じたい人には、「人のおり」もおすすめです。人間が檻の中に入ることで、クマを至近距離に感じられて息づかいやクマの吐息なども聞こえてきますよ。
エサをおねだりする大人のクマたちももちろん愛嬌たっぷりで可愛いのですが、昭和新山熊牧場のもう一つの魅力は生まれた子グマたちを見られるクマの幼稚園です。
幼稚園さながら、かわいい小さな子グマたちがよちよち歩いたり、頑張って遊具に登ったりして、とにかくめちゃくちゃ可愛いです♡
毎年、1~2月の出産時期に生まれた子グマを春に公開していて、ミルクをあげる様子も見学できちゃいます。5月にはその子グマたちがクマの幼稚園にデビューするので子グマたちがじゃれ合う姿や、水遊びをしている姿、遊具遊びに苦戦する可愛い姿に癒されること間違いなしです。
僕と同じで、あっと言う間に横にも縦にも大きくなっちゃうので、可愛らしい姿を見られるのは、春のこの時期だけです!!
関連記事:洞爺湖の知られざるお勧め観光スポット!洞爺の絶景を思いっきり楽しもう!
知床国立公園
最後にご紹介するのは、完全なる自然界に暮らす野生のヒグマを観察できるスポット、知床国立公園です。
世界遺産にも登録されている知床は「クマ優先のエリア」とも言われていて、「人間の住む世界にクマが出た!」という認識よりも「クマの住みかに人間がお邪魔させてもらっている」という認識でいるべき場所です。
それくらい、ヒグマが多く生息するエリアですが、知床国立公園でヒグマを観察するには、観光船を利用したウォッチングツアーや、プロのガイド付き添いのネイチャーツアーを利用して観察するなどの方法が安全でお勧めです。
もちろん、知床のエリアに入ったらいつどこでヒグマに出くわしてもおかしくないですが、出くわしてしまってもむやみに近寄ったり、食べ物を与えたりしては絶対にいけません。
「国立公園でヒグマの餌やりをしたら罰金を課す」という法案改正がされているくらい、ヒグマに食べ物を与えることはかなりの危険行為です。人間も襲われるようになりますし、そのヒグマも射殺の対象になってしまいますので絶対にやめましょう。
僕と同じで、食べ物を与えられると「またもらえる♪」と思ってついてきちゃうようになるんですね・・・・(´・ω・`)
ヒグマの観察方法の一つである観光船を利用したウォッチングツアーは、ヒグマに対して人の影響が小さく、かつ私たちも安全にそして高確率でヒグマの観察ができるので特にお勧めです。
ヒグマとの距離をキープしながら、じっくりヒグマを見ることができますし、美しい知床の海岸線と山々を見ながら雄大な自然の中で生きる野生のヒグマを見られるのは、かなり貴重な体験になるでしょう。
ガイド付きのネイチャーツアーは知床五湖にあるネイチャーオフィスから体験できます。「植生保護期」と「ヒグマ活動期」のシーズンごとで利用の形が違っていて、「ヒグマ活動期」には知床五湖の地上遊歩道は登録引率者という研修・試験を受けたガイドと一緒にしか入ることができません。
植生保護期であれば、立入認定申請とレクチャーの受講で自分でも散策ができますが、個人的にいつヒグマに出くわすかわからない知床の場所で自分で歩くのはかなりの危険行為だと思いますので、できればガイドさんと一緒に楽しみましょう。
このように、知床五湖は「ヒグマがいるかもしれない」という前提のもと、人間とヒグマとの共生・共存を考えながら、貴重な体験ができる場所です。
万が一安全が確保できない場所でヒグマに遭遇したら?
ここまでで、安全が確保できる管理された場所もしくは比較的安全な方法でヒグマを見られるスポットについてお伝えしてきましたが、北海道はどこにいてもヒグマに出会う可能性が少なからずあります。
万が一、旅行中に意図せずヒグマに出くわしてしまったら、どのように対処すればいいのでしょうか?
対処法1:まずは落ち着く
普通に考えて、目の前にあの凶暴なヒグマが現れたらだれでも慌てふためくと思いますが、慌てて騒ぎ立てると間違いなくヒグマを刺激して悲惨な目に遭います。
まずは落ち着くことが大切です。
走って逃げようという考えを少しでも持っていれば、今すぐその考えは捨てましょう。ヒグマはゆうに200キロくらいの体重がありながら、時速60キロで走ることができますので、絶対に逃げ切れません。
ウサイン・ボルトよりも3割増しくらい早くて、コニシキよりも5割増しくらい大きいヤツが走って追いかけてくるようなものですね。
対処法2:ゆっくりとその場から離れる
クマがこちらに気が付いていないようであれば、気付かれないようクマの様子をみながら、静かにゆっくりと、その場から離れましょう。
対処法3:強気に対応する
クマがこちらに気が付いて、近づいてくるような場合で、逃げ場がなく逃げ切れそうになければ強気に対応してください。(無茶なアドバイスだとは思いますが、やるしかありません。)
倒木や石の上に立ちあがって、自分を大きく見せ、大きな声と音をたててこちらも威嚇します。2人以上いる場合はまとまって行動し、大きい1個の個体だと思わせましょう。
クマ撃退スプレーを持っていれば、噴射の準備をします。棒など武器になりそうなものがあれば手に取って準備しましょう。
私たちサムライトリップコンシェルジュの観光ガイドもしっかりとクマ撃退スプレーを持ってガイドに当たっています!!北海道はどこにでもクマが出る可能性があるので、安全に旅をしたい方はぜひ私たちのガイドもご利用ください^^
対処法4:首を覆い防御姿勢を取る
クマスプレーが効かなかった場合や、持っていなかった場合など、万が一クマに襲われる事態になった時は、その場に倒れこんで、防御姿勢をとりましょう。
うつ伏せになって顔と腹部を守り、首の後ろは手を回して保護します。山を散策しているような場合、多くはリュックなどを背負っていると思いますので、これが背中を守ってくれます。
焦るなと言われてもかなり焦ると思いますが、できるだけ落ち着いて正しい行動をとることが生存率を高めます。
気付いた人も多いかと思いますが、俗にいう死んだふりは効きません。死んだふりでそのまま死んでしまわないよう、ちゃんと防御姿勢をとりましょう!
まとめ
今回は、北海道きっての魅惑の動物、ヒグマについてお伝えしてきました。
よく知らないと、凶暴で怖いだけの猛獣、と思ってしまいますが、北海道の歴史と共にヒグマのことを知っていくと、また違った目線でヒグマを見ることができるでしょう。
今回ご紹介した北海道のヒグマを安全に見られるクマスポットで、ぜひ本物のヒグマを間近で感じてみてくださいね。
私たち【サムライトリップコンシェルジュ】は、皆様の北海道旅行をもっと素敵に、もっと快適に、一生の思い出になるよう全力でサポートさせて頂きます。
北海道のご旅行やヒグマについての疑問、質問等ございましたらぜひお気軽にご相談下さいませ。